森蘭丸
もり らんまる
尾張織田家臣。
森可成の三男。
名は成利。
蘭の字は当時にはなく、乱とされる。
書物には森乱や乱法師といった記述が残されている。
江戸時代になって蘭丸という名が主流になった。
弟に坊丸、力丸がおり、3人とも織田信長に小姓として仕えている。
蘭丸は信長に一番近い側近で、使者の役目もこなすなど多岐にわたって務めを果たした。
また小姓でありながら、美濃岩村5万石を領するなど別格の待遇である。
(ただし本人は在城はしていない)
それだけ信長のお気に入りでもあった。
蘭丸にはその利発さを伝える、信長との逸話が数多く残っている。
あるとき、信長は爪を切り、切った爪を蘭丸に捨ててくるように言った。
しかし蘭丸は「爪が九つしかございません、一つどこか落ちているのでは」と言った。
信長が袖を払ってみると、たしかに爪が一つ出てきた。
信長は感心した。
あるとき、信長が小姓たちに
「余の刀にある花模様の、花びらの数を当ててみよ」
「当たった者にはこの刀を褒美にやるぞ」
と言った。
小姓たちはみな思い思いに答えたが、蘭丸だけは応えず黙っていた。
信長が「なぜお乱は答えぬのだ」と問うと
蘭丸は
「以前、殿が厠へ入る時に刀をお預かりした際、花びらの数を数えておりました」
「知っている故、お答えできなかったのでございます」
と応えた。
それを聞いた信長は正直者と感心し、刀は蘭丸に与えた。
ある時、信長は障子の戸を閉め忘れたので、蘭丸に閉めてくるように言った。
ところが蘭丸が行ってみると戸は閉まっていた。
そこで蘭丸は戸をそっと開け、そして今度は音を立てて戸を閉めた。
蘭丸にとって、主君の命は絶対であり成し遂げなくてはならない。
だから閉まっていた戸も一度開け、閉め直したのである。
ある時、蘭丸は多くの荷物を抱えて運んでいた。
それを見た信長は「そのような大荷物では粗相するぞ」と言った。
その後すぐ、蘭丸は信長の言った通りころげて荷物を落とした。
蘭丸にとって、主君の言葉に間違いがあってははならない。
だから主君の言ったとおり、あえてころんだのである。
本能寺の変において、蘭丸は兄弟たちとともに討たれた。
本能寺の変
森蘭丸は本能寺
0コメント