織田信雄

おだ のぶかつ

尾張織田一門。

信長の次男。

信長が臣従させた伊勢の北畠家の養子となり、北畠家の当主となって最初は北畠具豊（ともとよ）を名乗った。

伊勢を領し、伊勢長嶋の一向一揆攻めが初陣となる。

その後、長篠の戦いなど各地で転戦している。

信長に無断で伊賀に侵攻したことがあり、伊賀国人衆に大敗する。

このときは信長から、「親子の縁を切る」と言われるほど激怒され謹慎している。

のちに二度目の伊賀攻めでは織田家の畿内軍を率いて総大将を務め、ようやく伊賀を支配下に置いた。

本能寺の変の際には、伊勢にいた。

信雄は変を知ってすぐに兵を率いたが、蜂起した伊賀の国人一揆に阻まれる。

そのうちに京へ帰還した羽柴秀吉が明智光秀を破った。

清須会議の後、信雄は尾張も領することになる。

その後、対立する織田信孝が柴田勝家と手を組んだため、信雄は羽柴秀吉と手を組む。

羽柴秀吉が越前北ノ庄城で柴田勝家を滅ぼすと、信雄も岐阜の織田信孝を降伏・切腹させ、残った伊勢の滝川一益を下した。

表面上、信雄と羽柴秀吉は織田家の主従関係になる。

しかし実権は秀吉にあり、やがて専横を始めた秀吉と信雄は対立する。

信雄は秀吉と手切れを決意し、徳川家康と手を組んで小牧・長久手の戦いが始まった。

しかし尾張での対陣中、信雄の本拠である伊勢は城が次々と秀吉方に落とされる。

結局、信雄は単独で秀吉と和睦するに至り、秀吉に臣従して織田家は豊臣政権の一大名となった。

小田原征伐までは、信雄は豊臣政権の2番手であった。

秀吉は農民出で関白となったので、信雄が武家の棟梁になる。

しかし小田原征伐後、信雄は新領への鞍替えを拒否した為に改易となり、追放されてしまった。

その後に秀吉に赦された信雄は常真を名乗り、秀吉の御咄衆となっている。

関ヶ原では西軍側に付いた為、敗戦後に再び改易される。

その後は大坂で隠棲していた。

大坂では、信雄はかつて織田家の当主でもあり淀殿の血縁であったことから、長老として庇護されていた。

大坂の陣が起こった際は、信雄を豊臣方の総大将に挙げる声もあったが、面倒を避けたい信雄は大坂を脱出し京へ隠遁した。

戦後、家康よりそれが評価されて新たな知行地を賜る。

また旧織田家臣の大名たちからも寄付を受け、余生は悠々自適の隠居生活を過ごしたと云う。

信雄も信忠と同じく能の名手だったと云う。

もし天下を平定したなら、京の公家らに能舞をみせようと言い、家臣たちを呆れさせたという逸話がある。